進捗雑記

#ブクログ感想
「珈琲怪談」恩田陸
(Loading...)...
京都とか横浜とか神戸とか、比較的古い町に50代くらい?の男性4人が集まって、喫茶店で珈琲(やビールなど)を飲みながら怪談を話す短編集です。泊りがけで行くのでたまにホテルでの描写もある、というシチュエーションがとてもよかったです。雰囲気があった。
恩田陸の怪談だから基本的に上品で読みやすいです。怪談じゃない話、というか怪談と判断しきれない話(説明のつかない話)も結構ありました。
1話目と最終話の舞台が京都だったのは、森見登美彦みたいに虚構を語る上でその土地の力を借りているのかもしれないな、と思いました。

全6話あって、4話目くらいからなんか雰囲気が変わってきたような…?と思ったら、書かれた時期が全然違いました。このシリーズ、10年くらい連載してたのか。
最初の方の話は「最近の恩田陸っぽくなくて、作者の語りではないちゃんとした物語になってる!」「短編だから違うのかな?」とか思ったけど(失礼)、そもそも傾向が変わる前に書かれたものだったのか…。本編が終わった後のあとがき→初出一覧で、ミステリのような謎解き話を読んだ気分になりました。

最近の恩田陸作品は、わかりやすい物語とかキャラの書き分けには興味がなくなったのかな…?と感じます。前面に作者本人の気配が押し出されていると言うか、地の文とエッセイの区別がほぼつかないというか。今回の話は作者自身の体験が登場人物の語る怪談として出力されているので、うまくハマっていました。