進捗雑記

#落花 願い事の話六回目の推敲7915字 ほぼ完成です!あとはこの前改装できなかったページをちょっといじって、日曜日くらいにまとめて更新予定です〜

冒頭こんな感じ(キャスティ視点、二〜三章くらいの話でヒカリとテメノスがメインで登場します)
 崖に面した墓地で、少女が海風を浴びながら一冊の本を胸に押し抱く。
「……べ、べつに楽しみじゃないわよ! 他の二つのお願いだって、きっと叶わないし……」
 話すうちに眉が下がり、希望に彩られた顔に憂いが広がっていく。
 キャスティはごくりとつばを飲み、一歩踏み出した。
「そんなことないわ。ニューデルスタのクレープも、花師さんとのお話も……きっと、私が叶えてみせる」
 だがそんな言葉など届かないかのように、少女はうつむいた。こういう時、キャスティは無力感に襲われる。
 たとえ自分で叶えることができなくても、願いを持つことは間違っていないのだと、どうしたら彼女に伝わるのだろう――
 こぶしを握りしめた時、ぴくりとまぶたが震えて目が覚めた。
(夢……)
 波音が鼓膜を優しく叩く、西カナルブライン海道の夜だ。キャスティたち一行は、海が見える崖地の近くで野宿していた。
 少し寝苦しい夜だった。昼間はずっと曇り空で、夜になって晴れ間が見えたが、地上に溜まった熱が抜けなかった。彼女は寝袋の中でもぞもぞと身じろぐ。
 狭く暗い視界にいる他の仲間たちは、皆眠っているようだった。静かな寝息が聞こえる。曖昧な記憶の中、薬師団にいた頃もこんな夜があった気がして、キャスティは少し気分が緩む。
 しかし今は、明くる日の長距離移動に備えて睡眠をとらなければ。どうしても眠れなかったら安眠草を処方することも考えながら、キャスティはごろりと仰向けになった。
(あっ……!)
 途端に目を見開く。視界いっぱいに、今にも降ってきそうな星空が広がっていたのだ。暗い星も明るい星も、自らを誇るように夜空のキャンバスの中で瞬いている。野外生活が多い彼女でも、このレベルの景色はほぼ初めてだった。
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