進捗雑記

#ブクログ感想
「恋文の技術」森見登美彦
(Loading...)...
三回目くらいの再読です。かなり久々(10年ぶりくらい)に読み返しました。
>>1341 このインタビューを読んで、ほぼ本の内容を忘れていたことに気づいたので読み返しました。

往復書簡ではなく、「往」のみの書簡で長編(連作短編集?)としてまとまっているのがすごいなと思いました。このご時世に手紙を選んだ理由についてもちゃんと描かれているから、今読んでもそんなに違和感がないです。

ただ、いわゆる腐れ大学生ものの変形なんですが、結構な頻度で「実験がうまくいかない」「先輩に怒られてばかりいる」「就職先も未定」みたいな話が出てくるので、根底に鬱屈した雰囲気が漂っているんですよね。それが能登半島の寂しい空気と相まって、なんとも言えない鬱々としたムードが体感で本の六割くらいを占めています。
昔読んだときはその空気感がどうも苦手でしたが、今は特にそういうこともなくなって、去年見た日本海を思い出しつつどこか寂しい雰囲気に浸るのは、なかなか乙な気分でした。