進捗雑記

#ブクログ感想
スクリプトドクターの脚本教室・初級篇
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久々に(記録によると7年ぶりに)読み返しました。
ハリウッド系の脚本指南の本(シド・フィールドとかブレイク・スナイダーとか)と違って、脚本構成の細かい話はないのですが、そういう本が扱っていない範囲の話なので、むしろこの本の方が刺さる人も多いと思います。「脚本を書く人(物語創作をする人)の精神的な問題と、成果品の抱える問題は深く結びついている」という、結構ドキッとするような話がたくさんあります。

筆者さんはスクリプトドクターという、脚本がうまくいっていない企画に入っていって関係者とコミュニケーションをとりながら「治療」する外部の人です。さらに、自分で脚本を書いたり監督をやったり大学で教えたりするし、カウンセラーの資格も持っている…という経歴が存分に生きた内容でした。
そもそも「はじめに」が傑作で、「人付き合いの苦手なOLが田舎に帰って自分探しをした結果、少しだけ元気になったつもりで都会に戻ってくる話」という、いかにもありがちな脚本を書く人のことを「窓辺系」と総称していて、秀逸な名付けだと思います。
私は昔この本を読んだ時点でそういう系とは正反対で、どちらかというとド派手な事件を起こしがちで繊細な心理描写が置き去りになるタイプだったのですが、それでも読んでいて面白いし結構心にグサグサ来ます。
そしてこの本では、窓辺系の人がどうやったら面白い脚本を書けるようになるか、について主に心理的な面からアプローチがありました。「脚本教室で実際にこういうアプローチ(ほぼカウンセリング)をやったら、窓辺系の人が劇的に面白い作品を書くようになった」という成功譚も多く載っているので、別に創作をやらない人が読んでも面白いと思います。