#落花 三話目半分くらい直した。今の所一番ここが盛り上がってる気がするんだけど、それはまずい気が… 冒頭の回想シーン? テメノスは冷たい床の上にひざまずいていた。 まぶたを開ければ、あたりに柔らかい光が降り注いでいる。彼は組んだ手を解いた。 (ここは……大聖堂の礼拝堂?) 正面には講壇、両側には長椅子が並ぶ。長年勤めたフレイムチャーチ大聖堂の見慣れた景色だが、彼はどこか違和感を抱いた。 そうだ、正面の大きなステンドグラス――聖窓に修復の跡がない。 (修復? そもそも壊れたことなど……) 彼はかぶりを振る。祈りに集中していたせいか、一時的に記憶が混濁しているようだ。 その時、目の前の講壇から穏やかな声が降ってきた。 「テメノス、ずいぶん熱心に祈っていたな」 「そんなに珍しいですかねえ、教皇」 テメノスは軽口を叩きながら腰を伸ばした。壇上で教皇イェルクが穏やかに笑っている。 その顔を見た瞬間、なぜだか胸が締めつけられた。ひっそりと動揺したテメノスは瞬きで表情をごまかす。 教皇は目を細めながら続けた。 「熱心なのはいいことだ。しかし、そのままでは用事に間に合わなくなるぞ」 「用事、ですか?」 礼拝堂にはちらほら敬虔な信徒がいて、一心にこうべを垂れている。テメノスがやるべきこと……はて、思い浮かばない。 教皇がさりげなく退出を促すので、礼拝堂を後にした。明るさの落ち着いた廊下へ行くと顔見知りの信徒がいたので挨拶する。 直後、テメノスは入口付近にいた人物に目を留めた。 (おや……) その青年は老婆に荷物を渡している。きっと、巡礼路からここまで老婆の荷物を代わりに持ってきたのだろう。彼はにこやかに老婆と会話して、彼女に預けていた断罪の杖を受け取る。 「ロイ!」 呼びかければ、テメノスと揃いの神官服を着た友人が振り返った。黒い短髪が翻る。 (前より髪が伸びたような……いや、そんなはずは) 内心でかぶりを振る。 「テメノス、ちょうどいいところに」 ロイが笑いかけてきた。テメノスはどういうわけか呆然としてしまって言葉が出ない。 「……おい、大丈夫か?」ロイが怪訝そうに顔をしかめた。 「あ、ああ……そうだ、思い出した。君の用事があるんだったな」 徐々に思考が晴れ渡っていく。そういえば、今朝ロイに「後で迎えに行く」と言われていたのだった。ロイがにこりとする。 「そうそう。麓の村に来てくれ。紹介したい人たちがいるんだ」 「わかった」 テメノスが首肯すると、ロイは満足そうに断罪の杖を掲げた。導きの真似だろうか。 大聖堂の外に出る。二人はまぶしい昼の日差しに照らされた。正面にある広場にはいつもどおり聖火が燃え盛り、人々が集まって祈りを捧げている。その光景が妙に懐かしかった。 「少し……勢いが弱いな」 炎を眺め、テメノスは知らぬうちにつぶやいていた。ロイが目を剥く。 「聖火が? それは大変だ」 「いや、気のせいかもしれない」 慌てて顔の前で手を振った。今日はなんだか調子がおかしい。礼拝堂で祈りを捧げた直後は頭にもやがかかったようだったし、口を開けば失言ばかりだ。 石畳を歩いていき、フレイムチャーチ巡礼路に差し掛かる。道はよく整備され、両側に聖火のロウソクが灯っていた。木々の色づいた葉が風にざわめく。何気ない光景なのに、見ていると不思議な感慨がこみ上げた。 テメノスは胸をざわめかせる景色から視線を外し、隣に尋ねる。 「ロイ、異端審問官の仕事は順調か?」 友人は自信満々の様子で胸を張った。 「まあ五年以上やってるからね。慣れたものだよ。最近は手伝ってくれる騎士もいるし……」 ここだけしっかり目に直してるので公開できるけど、他がまだボロボロですね…!畳む 進捗 2025/09/16(Tue)
三話目半分くらい直した。今の所一番ここが盛り上がってる気がするんだけど、それはまずい気が…
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