#ブクログ感想
任侠楽団 (中公文庫 こ40-40)今野敏
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昔気質のヤクザがうまく行っていない他業種のコンサルティング(トラブルシューティング)をする「任侠〇〇」シリーズの新刊、文庫で集めているので買いました。今回は若手とベテランで対立が起こっているオーケストラの揉め事解決の話だった。
作者さんの他のシリーズからキャラを引っ張ってくる、という絶対に面白くなる展開をやれるのは、複数シリーズを持つベテランならではですね。そのせいか今回は人情ものよりもミステリの成分のほうが多かったかも。音楽の持つ力みたいな話にも触れられていました。
視点人物の日村さんは毎度のごとく心配性をこじらせていてよかった。それが楽しみでこのシリーズを読んでいるので…。
このシリーズは軽やかなエンタメで読みやすいし、しばらく経つと「面白かった」という記憶だけが残って細部を忘れてしまうので、何度も読み返して楽しめるという良さがあります。エンタメとしての作者さんの考えについては、解説に記載がありました。作者さんに何度もインタビューしたことのある人が書いたらしい解説だったので「そうそうそれ!よく分かってるなあ」となりました。文庫の解説って重要ですよね…
任侠楽団 (中公文庫 こ40-40)今野敏
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昔気質のヤクザがうまく行っていない他業種のコンサルティング(トラブルシューティング)をする「任侠〇〇」シリーズの新刊、文庫で集めているので買いました。今回は若手とベテランで対立が起こっているオーケストラの揉め事解決の話だった。
作者さんの他のシリーズからキャラを引っ張ってくる、という絶対に面白くなる展開をやれるのは、複数シリーズを持つベテランならではですね。そのせいか今回は人情ものよりもミステリの成分のほうが多かったかも。音楽の持つ力みたいな話にも触れられていました。
視点人物の日村さんは毎度のごとく心配性をこじらせていてよかった。それが楽しみでこのシリーズを読んでいるので…。
このシリーズは軽やかなエンタメで読みやすいし、しばらく経つと「面白かった」という記憶だけが残って細部を忘れてしまうので、何度も読み返して楽しめるという良さがあります。エンタメとしての作者さんの考えについては、解説に記載がありました。作者さんに何度もインタビューしたことのある人が書いたらしい解説だったので「そうそうそれ!よく分かってるなあ」となりました。文庫の解説って重要ですよね…
#ブクログ感想
荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方 (集英社新書)
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ジョジョの作者さんの悪役の作り方に興味があったので買いました。時代の流れに合わせて悪役キャラをつくっているんだなあとよく分かりました。岸辺露伴の編集者の泉さんが悪役というと「え?」と思うけど、くわしい説明を読んだら納得しました。
メインの話も良かったけど、他のハウツー本ではまず載っていないような衝撃的な話があってめちゃくちゃおもしろかったです。キャラ作りの基礎となる人間観察のため、冠婚葬祭に参加した時に変な人物がいないかどうか探す話とか、税金をちゃんと払うのが重要な話とか…。それと文章の中にちらちら「怒りを原動力に漫画を描いている」ことが見え隠れして面白いです。ちゃんとその感情を創作に昇華できてるのがすごい。
荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方 (集英社新書)
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ジョジョの作者さんの悪役の作り方に興味があったので買いました。時代の流れに合わせて悪役キャラをつくっているんだなあとよく分かりました。岸辺露伴の編集者の泉さんが悪役というと「え?」と思うけど、くわしい説明を読んだら納得しました。
メインの話も良かったけど、他のハウツー本ではまず載っていないような衝撃的な話があってめちゃくちゃおもしろかったです。キャラ作りの基礎となる人間観察のため、冠婚葬祭に参加した時に変な人物がいないかどうか探す話とか、税金をちゃんと払うのが重要な話とか…。それと文章の中にちらちら「怒りを原動力に漫画を描いている」ことが見え隠れして面白いです。ちゃんとその感情を創作に昇華できてるのがすごい。
#ブクログ感想
リプレイ (新潮文庫)ケン・グリムウッド
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この前の旅行に持っていく本を選ぶ時にたまたま本棚で見つけて手にとりました。10年以上ぶりの…3〜4読目?でした。
あまり人生がうまくいってなかった中年男性が突発的な心臓発作で死んで、気づいたら記憶はそのまま20年くらい前に時間が戻ってました…という、割とありがちな設定です。でもこれが書かれた当時(30年以上前)は新鮮だったと思う。
今からするとベタベタな設定と導入なんですが、60〜80年代アメリカの描写が生き生きしていて、主役の心情の変遷も丁寧に語られるので、素直に物語に乗せられて気持ちよく読み進められました。こういう話って終わり方をどうするかが難しそうだけど、ちゃんと尻すぼみじゃなく終わって大満足です。
過去の名作が今でもしっかり面白かったことが嬉しいです。これ映画化したら相当いいものになるだろうと前から思っているのですが、今のところ映像化はしてないっぽいですね…?
そういえば、北村薫の「時と人の三部作」(スキップ、ターン、リセット)のあとがき?か何かにこの本(リプレイ)の話が出てきて、「同じシリーズと思われることがあるけど違う」みたいなことが書かれていた覚えがあるのですが…気のせいだったかな。確かに時間と人との不思議で理不尽な関係性、という点ではちょっと似てるんですよね。筆致や作風は相当違うけど。
リプレイ (新潮文庫)ケン・グリムウッド
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この前の旅行に持っていく本を選ぶ時にたまたま本棚で見つけて手にとりました。10年以上ぶりの…3〜4読目?でした。
あまり人生がうまくいってなかった中年男性が突発的な心臓発作で死んで、気づいたら記憶はそのまま20年くらい前に時間が戻ってました…という、割とありがちな設定です。でもこれが書かれた当時(30年以上前)は新鮮だったと思う。
今からするとベタベタな設定と導入なんですが、60〜80年代アメリカの描写が生き生きしていて、主役の心情の変遷も丁寧に語られるので、素直に物語に乗せられて気持ちよく読み進められました。こういう話って終わり方をどうするかが難しそうだけど、ちゃんと尻すぼみじゃなく終わって大満足です。
過去の名作が今でもしっかり面白かったことが嬉しいです。これ映画化したら相当いいものになるだろうと前から思っているのですが、今のところ映像化はしてないっぽいですね…?
そういえば、北村薫の「時と人の三部作」(スキップ、ターン、リセット)のあとがき?か何かにこの本(リプレイ)の話が出てきて、「同じシリーズと思われることがあるけど違う」みたいなことが書かれていた覚えがあるのですが…気のせいだったかな。確かに時間と人との不思議で理不尽な関係性、という点ではちょっと似てるんですよね。筆致や作風は相当違うけど。
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あれ、しゃばけってアニメになるんでしたっけ!?いや前にどこかで情報を見た気もする…?若旦那の目がキラキラだあ…
三島屋変調百物語もメディアミックスしてほしいなあと思うけど、あの面白さは小説ならではかもしれない。そしてあのシリーズってもう半分の50話近く行ってたんですね…なんとか最後まで書き切ってほしいなあ
ちょっと大きめの本屋に行ったら、嬉しくなって文庫本3冊買ってしまった…手持ちの積読がなくなってたので最近心許なさがあったんですよね。
パッと手に取ったのが前から追いかけてるシリーズの続編と、あとは食べ物系のエッセイとアンソロジーでした。これは私の目がそういう系統の話を無意識に探しているからなのか、それとも刊行点数自体が増加傾向にあるのか、どっちだろう…。いつの時代も料理とか食事系の話は人気とはいえ、なんとなく最近多い気がする…?
私はすっかり量が食べられなくなったので、文章でおいしさを味わう方にシフトしてしまってますね。暑くなってきたしちゃんと水分補給しながら読みます!
パッと手に取ったのが前から追いかけてるシリーズの続編と、あとは食べ物系のエッセイとアンソロジーでした。これは私の目がそういう系統の話を無意識に探しているからなのか、それとも刊行点数自体が増加傾向にあるのか、どっちだろう…。いつの時代も料理とか食事系の話は人気とはいえ、なんとなく最近多い気がする…?
私はすっかり量が食べられなくなったので、文章でおいしさを味わう方にシフトしてしまってますね。暑くなってきたしちゃんと水分補給しながら読みます!
#ブクログ感想
「パズルと天気」伊坂幸太郎
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連作じゃない、バラバラ世界観の短編集というと伊坂幸太郎にしては珍しいのかも。10年以上前に書かれた話も混ざっていたけどそこまで違和感はなかった。
「パズル」は「マッチングアプリでしか出会えない名探偵がいる」という面白い設定で、シリーズ化してほしいなと思った。
そして最後の「Weather」は温かい結末でとても良かった。女好きの友人について探りを入れられるのを防ぐために天気の話でごまかしていたら、そのうち天気予報の雑学に詳しくなった、という変なエピソードに味わいがある。
あとは犬関連や竹取物語などの昔話の変奏曲みたいな短編は、この作者さんしか書けないタイプの話で面白かった。
伊坂幸太郎は短編も全然いけると思うんだけどなあ…確かに数は少なめだから苦手なのは本当らしいけど、もっと書いてほしい。
「パズルと天気」伊坂幸太郎
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連作じゃない、バラバラ世界観の短編集というと伊坂幸太郎にしては珍しいのかも。10年以上前に書かれた話も混ざっていたけどそこまで違和感はなかった。
「パズル」は「マッチングアプリでしか出会えない名探偵がいる」という面白い設定で、シリーズ化してほしいなと思った。
そして最後の「Weather」は温かい結末でとても良かった。女好きの友人について探りを入れられるのを防ぐために天気の話でごまかしていたら、そのうち天気予報の雑学に詳しくなった、という変なエピソードに味わいがある。
あとは犬関連や竹取物語などの昔話の変奏曲みたいな短編は、この作者さんしか書けないタイプの話で面白かった。
伊坂幸太郎は短編も全然いけると思うんだけどなあ…確かに数は少なめだから苦手なのは本当らしいけど、もっと書いてほしい。
#ブクログ感想
「パンツの面目ふんどしの沽券 (ちくま文庫)」米原万里
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普通のエッセイ集かと思ったら、タイトルの通りの下着の話が文庫本全300ページを占めていて驚きました。しかもほぼ内容は下着の服飾史(世界編)です。参考文献の数と引用の頻度が半端なかった。内容がぎちぎちに詰まっていたので読むのに割と時間がかかりました。
前半は尾籠な話(婉曲表現)が多めだったけど、後半に行くに連れて真面目な話が多くなってきたかな。「恥ずかしいから隠すのではなく、隠すから恥ずかしくなる」話とか、ふんどしがかつて日本男児の精神的な支柱の役割を果たしていた話が印象に残りました。
米原万里の本はこの前読んだガセネッタ&シモネッタ と、どこかでやった公演を文字に起こしたものくらいしか読んだことがなかったのですが、その時は「割と同じような話題を扱っているんだな」と思いました。でもこの本を読んで考えを改めました。こんな本が書けるのはもはやエッセイストを超えてます。自分の興味があることをとことん掘り下げられるのはすごい…
「パンツの面目ふんどしの沽券 (ちくま文庫)」米原万里
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普通のエッセイ集かと思ったら、タイトルの通りの下着の話が文庫本全300ページを占めていて驚きました。しかもほぼ内容は下着の服飾史(世界編)です。参考文献の数と引用の頻度が半端なかった。内容がぎちぎちに詰まっていたので読むのに割と時間がかかりました。
前半は尾籠な話(婉曲表現)が多めだったけど、後半に行くに連れて真面目な話が多くなってきたかな。「恥ずかしいから隠すのではなく、隠すから恥ずかしくなる」話とか、ふんどしがかつて日本男児の精神的な支柱の役割を果たしていた話が印象に残りました。
米原万里の本はこの前読んだガセネッタ&シモネッタ と、どこかでやった公演を文字に起こしたものくらいしか読んだことがなかったのですが、その時は「割と同じような話題を扱っているんだな」と思いました。でもこの本を読んで考えを改めました。こんな本が書けるのはもはやエッセイストを超えてます。自分の興味があることをとことん掘り下げられるのはすごい…
#ブクログ感想
「ついでにジェントルメン (文春文庫)」柚木麻子
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短編集です。前に料理小説のアンソロジーで読んだ短編が入っていました>>207
読み終わってみれば、再読した短編が一番おもしろかったかな。柚木麻子はやっぱり脂っこくて若干重たい…!長編じゃなくて短編集ならまだいいかなと思ったけれど、終盤に行くに連れてだんだんお腹いっぱいになってきました。好きな作家さんなのですが、時代性と普遍性のバランス感覚と言うと、やはりちょっと欠ける部分はあります。
でも高級寿司店とか、家族に開かれた場所になった老舗高級ホテルとか、同潤会の建てた女性専用アパートメントとか、文藝春秋本社の一階サロン(そんなものがあるとは知らなかった)とか、面白いロケーションが多くていろんな雰囲気を味わえました。
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そういえばBUTTERがイギリスで大流行しているとか。めでたいことです。でもあの話って海外の人が読んで面白いのか…!?とちょっと不思議に思いました。確か小説で出てくる友人の飼い犬の名前がメラニー(風と共に去りぬの登場人物)でしたが、これは特に関係ないですよね…?
一応実在の人物を下敷きにした話だったはずだけど、海外だとそういう生々しさが薄れた状態で読めるってことかな。
「ついでにジェントルメン (文春文庫)」柚木麻子
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短編集です。前に料理小説のアンソロジーで読んだ短編が入っていました>>207
読み終わってみれば、再読した短編が一番おもしろかったかな。柚木麻子はやっぱり脂っこくて若干重たい…!長編じゃなくて短編集ならまだいいかなと思ったけれど、終盤に行くに連れてだんだんお腹いっぱいになってきました。好きな作家さんなのですが、時代性と普遍性のバランス感覚と言うと、やはりちょっと欠ける部分はあります。
でも高級寿司店とか、家族に開かれた場所になった老舗高級ホテルとか、同潤会の建てた女性専用アパートメントとか、文藝春秋本社の一階サロン(そんなものがあるとは知らなかった)とか、面白いロケーションが多くていろんな雰囲気を味わえました。
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そういえばBUTTERがイギリスで大流行しているとか。めでたいことです。でもあの話って海外の人が読んで面白いのか…!?とちょっと不思議に思いました。確か小説で出てくる友人の飼い犬の名前がメラニー(風と共に去りぬの登場人物)でしたが、これは特に関係ないですよね…?
一応実在の人物を下敷きにした話だったはずだけど、海外だとそういう生々しさが薄れた状態で読めるってことかな。
#ブクログ感想
「宙ごはん」町田そのこ
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※宙とついているけど主人公の名前が宙というだけで、宇宙には特に関係なかったです。
現代小説で多分一定の支持を得ているのが、この本が所属するいわゆる「ご飯もの」なのでしょう。主に人間関係などでいろいろ問題が起こるけど、ご飯(手作りのことが多い)を食べて丸く収まる…みたいな話です(偏見)。最近も何度か読みました。>>1124,897
でも今回の話は人生最大級の修羅場(親の不倫とか…飲酒運転の被害者加害者とか…)が五話連続で襲ってくるので、「こんな重苦しい事情、ご飯食べたくらいじゃ取り返せなくない!?」と思いました。実際、ご飯を食べてすべてが解決するわけじゃなくて、登場人物たちがよく話し合って、最後のひと押しとして料理を振る舞う、それによって丸く収まる…という方向性でした。安易なご飯ものじゃなかったのは非常にグッドです。
それはそれとして、それぞれの話のタイトルが「ふわふわパンケーキ」みたいな感じなのですが、ふわふわ感ゼロの話でしたね…。「猫の刻参り」の若旦那の修羅場の話と並行して読んでいたため、余計にヘビーな内容でした。
「コンビニ兄弟」を書かれている作者さんなのですが、正直あっちのシリーズよりだいぶ読み応えがあって面白かったです。登場人物の口調が高校生らしくなかったりと若干不自然だけど、そこまで目につく感じでも無かったかな。※コンビニ兄弟の感想は>>1100
「宙ごはん」町田そのこ
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※宙とついているけど主人公の名前が宙というだけで、宇宙には特に関係なかったです。
現代小説で多分一定の支持を得ているのが、この本が所属するいわゆる「ご飯もの」なのでしょう。主に人間関係などでいろいろ問題が起こるけど、ご飯(手作りのことが多い)を食べて丸く収まる…みたいな話です(偏見)。最近も何度か読みました。>>1124,897
でも今回の話は人生最大級の修羅場(親の不倫とか…飲酒運転の被害者加害者とか…)が五話連続で襲ってくるので、「こんな重苦しい事情、ご飯食べたくらいじゃ取り返せなくない!?」と思いました。実際、ご飯を食べてすべてが解決するわけじゃなくて、登場人物たちがよく話し合って、最後のひと押しとして料理を振る舞う、それによって丸く収まる…という方向性でした。安易なご飯ものじゃなかったのは非常にグッドです。
それはそれとして、それぞれの話のタイトルが「ふわふわパンケーキ」みたいな感じなのですが、ふわふわ感ゼロの話でしたね…。「猫の刻参り」の若旦那の修羅場の話と並行して読んでいたため、余計にヘビーな内容でした。
「コンビニ兄弟」を書かれている作者さんなのですが、正直あっちのシリーズよりだいぶ読み応えがあって面白かったです。登場人物の口調が高校生らしくなかったりと若干不自然だけど、そこまで目につく感じでも無かったかな。※コンビニ兄弟の感想は>>1100
#ブクログ感想
「猫の刻参り 三島屋変調百物語拾之続」宮部みゆき
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表題作に可愛い猫が出てきて(復讐ものだけど)、あとの話にイケメンのカッパとかイケメンの山犬とかが出てきて、動物の出番が盛りだくさんでした。
挿絵が良かったなあ。モノクロで荒いタッチの背景と繊細なタッチの人物が描かれていて、人物の絵柄がかなり好みでした。
今回は二話目三話目に妖怪混じりのバトルがあったりとかなり盛り上がったのですが、エピローグに差し掛かって「残りこのページ数で一体何の話をするんだ…!?そしてこの不穏すぎるタイトルは一体…」となった瞬間が一番テンションが上りました。そこから最後までずっとハラハラした…
百物語を他人から聞くだけじゃなくて、聞き手の三島屋にもいろいろな変化や災厄が訪れるのがこのシリーズの特徴ですね。さすがに10巻も読むとキャラにも愛着が湧くから、あまりしんどいことになってほしくはないんですが…。次の巻はどうなるんだろうか…
「猫の刻参り 三島屋変調百物語拾之続」宮部みゆき
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表題作に可愛い猫が出てきて(復讐ものだけど)、あとの話にイケメンのカッパとかイケメンの山犬とかが出てきて、動物の出番が盛りだくさんでした。
挿絵が良かったなあ。モノクロで荒いタッチの背景と繊細なタッチの人物が描かれていて、人物の絵柄がかなり好みでした。
今回は二話目三話目に妖怪混じりのバトルがあったりとかなり盛り上がったのですが、エピローグに差し掛かって「残りこのページ数で一体何の話をするんだ…!?そしてこの不穏すぎるタイトルは一体…」となった瞬間が一番テンションが上りました。そこから最後までずっとハラハラした…
百物語を他人から聞くだけじゃなくて、聞き手の三島屋にもいろいろな変化や災厄が訪れるのがこのシリーズの特徴ですね。さすがに10巻も読むとキャラにも愛着が湧くから、あまりしんどいことになってほしくはないんですが…。次の巻はどうなるんだろうか…
「面白くてページを捲る手が止まらなくなる」という体験は物語の何もかもが新鮮だった幼少期に多かったけれど、宮部みゆきの本は今でもその感覚を取り戻させてくれるなあ…。「区切りのいいところまであと50ページくらいあるし、残りは明日かな」と思っていたのに、普通に話に夢中になってやめられなくて、キリのいいところまで全部読んでしまった。
語り手が別の人による回想シーンが二重で始まった時は「それありなのか!?」と思ったけど、語り口がうまくてするする読めてしまった。「伝聞の伝聞をきく主人公」というややこしいシチュエーションでも混乱が少なかった。たぶんそれぞれの話のボリュームの配分が良かったのかな。こんなの真似しようとしたら火傷しそうな構成だ…
語り手が別の人による回想シーンが二重で始まった時は「それありなのか!?」と思ったけど、語り口がうまくてするする読めてしまった。「伝聞の伝聞をきく主人公」というややこしいシチュエーションでも混乱が少なかった。たぶんそれぞれの話のボリュームの配分が良かったのかな。こんなの真似しようとしたら火傷しそうな構成だ…
今宮部みゆきの三島屋変調百物語の新刊を読んでいるんですが、たまたまとはいえ連続で怪談ですね。私ってもしかしてホラー苦手とか言いながら結構読んでるのか…?
そのへんについてつらつら考えていたら、私は映像などビジュアル化されたものが苦手で、文章で読む分には「物語」になるからそこまで忌避感がないのかも、と思いました。小説だと普通にストーリーを楽しんでしまう。それと恩田陸も宮部みゆきも、「他人から聞いた話」という体の怪談だから読みやすいのかも。主人公に危機が迫るタイプではないからとっつきやすい、というのはありそう。
今読んでる本の一話目がざまあ系みたいな話の運びで(いわゆる復讐もの)、押しも押されもせぬ大ベテランは一体どうやってこのネタを料理するんだろう…と思ったら、詳しい内容は伏せますが因果応報のめぐり具合が美しくて、バランス感覚が半端ないなと思いました。ざまあするだけで終わっていなくて、うまいこと溜飲が下がるというか…感情のいろんな部分を刺激される話でした。
現代作家に求められているものって多分、そういうバランス感覚なんですよね。「どぎつさがない話」とも言い換えられるかな。現代はそれがないと他人にお勧めしづらい→売り上げが落ちるという難しさがあります。しかもどんどん倫理観価値観が変わるから、うまくバランスを取るのはかなり難しいと思う。
前も書いた気がするけど、最近の宮部みゆきの時代物は昔話レベルに普遍性がありつつ、現代的なバランス感覚もある隙のない話だなあ…と思います。一体どれだけ研鑽を積んだらこんな練度の話(文章自体も話のつくりも)が書けるんだ…?
そのへんについてつらつら考えていたら、私は映像などビジュアル化されたものが苦手で、文章で読む分には「物語」になるからそこまで忌避感がないのかも、と思いました。小説だと普通にストーリーを楽しんでしまう。それと恩田陸も宮部みゆきも、「他人から聞いた話」という体の怪談だから読みやすいのかも。主人公に危機が迫るタイプではないからとっつきやすい、というのはありそう。
今読んでる本の一話目がざまあ系みたいな話の運びで(いわゆる復讐もの)、押しも押されもせぬ大ベテランは一体どうやってこのネタを料理するんだろう…と思ったら、詳しい内容は伏せますが因果応報のめぐり具合が美しくて、バランス感覚が半端ないなと思いました。ざまあするだけで終わっていなくて、うまいこと溜飲が下がるというか…感情のいろんな部分を刺激される話でした。
現代作家に求められているものって多分、そういうバランス感覚なんですよね。「どぎつさがない話」とも言い換えられるかな。現代はそれがないと他人にお勧めしづらい→売り上げが落ちるという難しさがあります。しかもどんどん倫理観価値観が変わるから、うまくバランスを取るのはかなり難しいと思う。
前も書いた気がするけど、最近の宮部みゆきの時代物は昔話レベルに普遍性がありつつ、現代的なバランス感覚もある隙のない話だなあ…と思います。一体どれだけ研鑽を積んだらこんな練度の話(文章自体も話のつくりも)が書けるんだ…?
#ブクログ感想
「珈琲怪談」恩田陸
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京都とか横浜とか神戸とか、比較的古い町に50代くらい?の男性4人が集まって、喫茶店で珈琲(やビールなど)を飲みながら怪談を話す短編集です。泊りがけで行くのでたまにホテルでの描写もある、というシチュエーションがとてもよかったです。雰囲気があった。
恩田陸の怪談だから基本的に上品で読みやすいです。怪談じゃない話、というか怪談と判断しきれない話(説明のつかない話)も結構ありました。
1話目と最終話の舞台が京都だったのは、森見登美彦みたいに虚構を語る上でその土地の力を借りているのかもしれないな、と思いました。
全6話あって、4話目くらいからなんか雰囲気が変わってきたような…?と思ったら、書かれた時期が全然違いました。このシリーズ、10年くらい連載してたのか。
最初の方の話は「最近の恩田陸っぽくなくて、作者の語りではないちゃんとした物語になってる!」「短編だから違うのかな?」とか思ったけど(失礼)、そもそも傾向が変わる前に書かれたものだったのか…。本編が終わった後のあとがき→初出一覧で、ミステリのような謎解き話を読んだ気分になりました。
最近の恩田陸作品は、わかりやすい物語とかキャラの書き分けには興味がなくなったのかな…?と感じます。前面に作者本人の気配が押し出されていると言うか、地の文とエッセイの区別がほぼつかないというか。今回の話は作者自身の体験が登場人物の語る怪談として出力されているので、うまくハマっていました。
「珈琲怪談」恩田陸
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京都とか横浜とか神戸とか、比較的古い町に50代くらい?の男性4人が集まって、喫茶店で珈琲(やビールなど)を飲みながら怪談を話す短編集です。泊りがけで行くのでたまにホテルでの描写もある、というシチュエーションがとてもよかったです。雰囲気があった。
恩田陸の怪談だから基本的に上品で読みやすいです。怪談じゃない話、というか怪談と判断しきれない話(説明のつかない話)も結構ありました。
1話目と最終話の舞台が京都だったのは、森見登美彦みたいに虚構を語る上でその土地の力を借りているのかもしれないな、と思いました。
全6話あって、4話目くらいからなんか雰囲気が変わってきたような…?と思ったら、書かれた時期が全然違いました。このシリーズ、10年くらい連載してたのか。
最初の方の話は「最近の恩田陸っぽくなくて、作者の語りではないちゃんとした物語になってる!」「短編だから違うのかな?」とか思ったけど(失礼)、そもそも傾向が変わる前に書かれたものだったのか…。本編が終わった後のあとがき→初出一覧で、ミステリのような謎解き話を読んだ気分になりました。
最近の恩田陸作品は、わかりやすい物語とかキャラの書き分けには興味がなくなったのかな…?と感じます。前面に作者本人の気配が押し出されていると言うか、地の文とエッセイの区別がほぼつかないというか。今回の話は作者自身の体験が登場人物の語る怪談として出力されているので、うまくハマっていました。
ブクログのトップページを見ていたら伊坂幸太郎の新刊が載っていて「え、新刊通知来てないよ!?」と焦りましたが、まだ発売前みたいですね。月末かー。この前の本(楽園の楽園)が若干消化不良だったから(単にボリュームの問題だった気がするけど)短いスパンで出てくれるのはありがたいな。
>>1311 恩田陸の新刊を読み始めました。予想は外れて黒後家蜘蛛の会のパロディではなかったけど(よく考えたらミステリを元ネタにして怪談をやるのは無茶だった)、なかなかいい感じです。
1話目で京都の喫茶店を梯子しながら怪談話をしていて、途中でどうも京大北門前の進々堂(喫茶店)が出てきたっぽくて、直前まで森見登美彦を読んでいたのでなかなかタイムリーだなと思いました。こういう読書にまつわる偶然って結構多く発生する気がする。というか単に色々読んでる分当たり判定がめちゃくちゃ広くなってるだけですかね…?
1話あたり4本くらい短めの怪談があるのも良い。本当に恩田陸のホラーはお上品だ…私はこういう系統の話がいい…
比較的最近読んだ他のホラーは>>1196
>>1311 恩田陸の新刊を読み始めました。予想は外れて黒後家蜘蛛の会のパロディではなかったけど(よく考えたらミステリを元ネタにして怪談をやるのは無茶だった)、なかなかいい感じです。
1話目で京都の喫茶店を梯子しながら怪談話をしていて、途中でどうも京大北門前の進々堂(喫茶店)が出てきたっぽくて、直前まで森見登美彦を読んでいたのでなかなかタイムリーだなと思いました。こういう読書にまつわる偶然って結構多く発生する気がする。というか単に色々読んでる分当たり判定がめちゃくちゃ広くなってるだけですかね…?
1話あたり4本くらい短めの怪談があるのも良い。本当に恩田陸のホラーはお上品だ…私はこういう系統の話がいい…
比較的最近読んだ他のホラーは>>1196
#ブクログ感想
「恋文の技術」森見登美彦
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三回目くらいの再読です。かなり久々(10年ぶりくらい)に読み返しました。
>>1341 このインタビューを読んで、ほぼ本の内容を忘れていたことに気づいたので読み返しました。
往復書簡ではなく、「往」のみの書簡で長編(連作短編集?)としてまとまっているのがすごいなと思いました。このご時世に手紙を選んだ理由についてもちゃんと描かれているから、今読んでもそんなに違和感がないです。
ただ、いわゆる腐れ大学生ものの変形なんですが、結構な頻度で「実験がうまくいかない」「先輩に怒られてばかりいる」「就職先も未定」みたいな話が出てくるので、根底に鬱屈した雰囲気が漂っているんですよね。それが能登半島の寂しい空気と相まって、なんとも言えない鬱々としたムードが体感で本の六割くらいを占めています。
昔読んだときはその空気感がどうも苦手でしたが、今は特にそういうこともなくなって、去年見た日本海を思い出しつつどこか寂しい雰囲気に浸るのは、なかなか乙な気分でした。
「恋文の技術」森見登美彦
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三回目くらいの再読です。かなり久々(10年ぶりくらい)に読み返しました。
>>1341 このインタビューを読んで、ほぼ本の内容を忘れていたことに気づいたので読み返しました。
往復書簡ではなく、「往」のみの書簡で長編(連作短編集?)としてまとまっているのがすごいなと思いました。このご時世に手紙を選んだ理由についてもちゃんと描かれているから、今読んでもそんなに違和感がないです。
ただ、いわゆる腐れ大学生ものの変形なんですが、結構な頻度で「実験がうまくいかない」「先輩に怒られてばかりいる」「就職先も未定」みたいな話が出てくるので、根底に鬱屈した雰囲気が漂っているんですよね。それが能登半島の寂しい空気と相まって、なんとも言えない鬱々としたムードが体感で本の六割くらいを占めています。
昔読んだときはその空気感がどうも苦手でしたが、今は特にそういうこともなくなって、去年見た日本海を思い出しつつどこか寂しい雰囲気に浸るのは、なかなか乙な気分でした。
#ブクログ感想
ガセネッタ&シモネッタ (文春文庫)
ガセネッタ&シモネッタ (文春文庫)...
20年くらい前に亡くなられたロシア語同時通訳の方のエッセイ集です。再読四回目くらいだった気がする。シモネッタ=「パーネ・アモーレ」の作者さんのことで、エッセイの中にも何度か出てきました >>1234
この本で特筆すべきはコース料理仕立てで構成されていることです。毛色の違うエッセイや対談がまとまっているので飽きが来なくて良い。内容としては通訳あるあるみたいな話から発展して、言葉そのものに対する感覚の話なども含まれていました。旅行にも持っていったのですが、旅の空で読むにはちょうどよかったです。
社会主義体制下のチェコでの学生時代に、濡れ場の描写を求めてクラス全員で三銃士などの文学作品を読みふけっていたエピソードが面白すぎる(本屋に娯楽小説が基本的に売っていないため)。
ガセネッタ&シモネッタ (文春文庫)
ガセネッタ&シモネッタ (文春文庫)...
20年くらい前に亡くなられたロシア語同時通訳の方のエッセイ集です。再読四回目くらいだった気がする。シモネッタ=「パーネ・アモーレ」の作者さんのことで、エッセイの中にも何度か出てきました >>1234
この本で特筆すべきはコース料理仕立てで構成されていることです。毛色の違うエッセイや対談がまとまっているので飽きが来なくて良い。内容としては通訳あるあるみたいな話から発展して、言葉そのものに対する感覚の話なども含まれていました。旅行にも持っていったのですが、旅の空で読むにはちょうどよかったです。
社会主義体制下のチェコでの学生時代に、濡れ場の描写を求めてクラス全員で三銃士などの文学作品を読みふけっていたエピソードが面白すぎる(本屋に娯楽小説が基本的に売っていないため)。
#ブクログ感想
ぐるぐる問答 森見登美彦氏対談集
ぐるぐる問答 森見登美彦氏対談集...
デビュー直後くらい〜作家生活十周年くらいまでの対談集でした。そこからさらに十年経過して、この前インタビュー本を読んだことで初めて分かったのですが、この対談集が刊行された数年前に一回キャパオーバーして連載全部ストップしてたんですね…。
※インタビュー本は>>1317
対談集は楽しい話ばっかりなのに、その裏で起こっていた事を考えて勝手にしんみりしながら読みました。一方で、私も十年経って知識が増えたり考え方が変わったりしたので、当時よりも面白く読めたと思います。
ラ コリーナ近江八幡
ラ コリーナ近江八幡...
ちょうど先日この施設(バームクーヘンで有名なお菓子屋さんの商業施設)に行ってきました。藤森照信という有名な建築家が設計した施設だったので、そこの売店で記念に買いました。四季折々の写真+施設を設計・施工した人たちのインタビュー集で、結構良いお値段でしたが、その分の価値はありました。
なにげに装丁が面白いです。カバーは縦線の入ったラフな紙で所々にアリのイラストだけが印刷されてて、表紙の半分くらいの高さまである帯には写真がどーんと載ってます。これはイラスト系同人誌でやってほしい装丁かも。
私は建築が好きなのでこういう本を買って、どういう思いでつくられた施設なのかを読んで知識を得るのですが、あの施設を訪れる人はたいていはお菓子が目当てで、施設自体に関しては「なんかちょっと変わった建物だな」と思うくらいだと思います。
でもそれでいいんですよね。別に誰が設計したとか知らなくても、あの場所の気持ちよさは十分すぎるほど感じられるはずです。特に建築に興味のない人たちが、どうやってその建物を使うのか、何に心地よさを感じるのかについて、私は興味があります。もっというと「何故人がそこに集まるのか」が一番気になるのかな。
藤森照信の建築は他にも見たことがありますが、そことラコリーナでアプローチや壁面のテクスチャーが似通っていて、「この人(建築家)はこういうのが好きなんだなあ」とひしひしと感じました。
ちなみにここのパン屋で売ってたバームクーヘン入りのパンが美味しかったです。バームクーヘンはしっとりしてたし、パン生地そのものが美味しかった。
ぐるぐる問答 森見登美彦氏対談集
ぐるぐる問答 森見登美彦氏対談集...
デビュー直後くらい〜作家生活十周年くらいまでの対談集でした。そこからさらに十年経過して、この前インタビュー本を読んだことで初めて分かったのですが、この対談集が刊行された数年前に一回キャパオーバーして連載全部ストップしてたんですね…。
※インタビュー本は>>1317
対談集は楽しい話ばっかりなのに、その裏で起こっていた事を考えて勝手にしんみりしながら読みました。一方で、私も十年経って知識が増えたり考え方が変わったりしたので、当時よりも面白く読めたと思います。
ラ コリーナ近江八幡
ラ コリーナ近江八幡...
ちょうど先日この施設(バームクーヘンで有名なお菓子屋さんの商業施設)に行ってきました。藤森照信という有名な建築家が設計した施設だったので、そこの売店で記念に買いました。四季折々の写真+施設を設計・施工した人たちのインタビュー集で、結構良いお値段でしたが、その分の価値はありました。
なにげに装丁が面白いです。カバーは縦線の入ったラフな紙で所々にアリのイラストだけが印刷されてて、表紙の半分くらいの高さまである帯には写真がどーんと載ってます。これはイラスト系同人誌でやってほしい装丁かも。
私は建築が好きなのでこういう本を買って、どういう思いでつくられた施設なのかを読んで知識を得るのですが、あの施設を訪れる人はたいていはお菓子が目当てで、施設自体に関しては「なんかちょっと変わった建物だな」と思うくらいだと思います。
でもそれでいいんですよね。別に誰が設計したとか知らなくても、あの場所の気持ちよさは十分すぎるほど感じられるはずです。特に建築に興味のない人たちが、どうやってその建物を使うのか、何に心地よさを感じるのかについて、私は興味があります。もっというと「何故人がそこに集まるのか」が一番気になるのかな。
藤森照信の建築は他にも見たことがありますが、そことラコリーナでアプローチや壁面のテクスチャーが似通っていて、「この人(建築家)はこういうのが好きなんだなあ」とひしひしと感じました。
ちなみにここのパン屋で売ってたバームクーヘン入りのパンが美味しかったです。バームクーヘンはしっとりしてたし、パン生地そのものが美味しかった。
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このインタビュー読みました。私が最後に「恋文の技術」を読んだのも十年以上前なので、能登が舞台だったことを忘れてました。石川でのトークイベントなので地元視点での細かい質問があって面白いです。
奈良が舞台の話って書きにくいんだ…!そのへんの理由を知りたいな。まあ京都レベルの一種の磁場はないかもしれないけど、そんなの京都以外のどこの土地もそうだしな…
最近、森見登美彦の昔の対談集を読み返していて、デビュー当時からの変遷とかどういう考え方をする人なのかとかをいろんな面から把握していってる最中です。この作家さんのことは割と初期からずっと追ってきてますが、この前のインタビュー本を読んでやっと全体像みたいなものを捉えられた気がする。気のせいかもだけど。
※インタビュー本感想は>>1317
#ブクログ感想
おでかけアンソロジー ひとり旅 いつもの私を、少し離れて (だいわ文庫)
「一人旅」がテーマのエッセイをたくさん集めた文庫オリジナルアンソロジーです。オリジナルといっても書き下ろしではなく、いろんな媒体に発表済みの短編がセレクションされていました。柳田國男(遠野物語の人)もいれば久住昌之(孤独のグルメの原作の人)もいて、年代も内容もかなりバラエティに富んでいました。
しかし一番驚いたのは「だいわ文庫」という文庫名です。正直私はこのレーベルを生まれて初めて見ました。「大和書房のだいわ文庫って…どこの出版社…?」と買ってから思いました。ちらっと調べたら実用書中心に発行している会社みたいですね。そりゃあ知らないわけだ…
この本は普段の行動範囲外の本屋で買いました。こういうテーマの文庫アンソロが普段通ってる本屋にあったら絶対気づくはずなので、「掘り出し物だー」と思って飛びついて、半分くらいまで読み進めてからふと奥付を確認して結構びっくりさせられました。
おでかけアンソロジー ひとり旅 いつもの私を、少し離れて (だいわ文庫)
「一人旅」がテーマのエッセイをたくさん集めた文庫オリジナルアンソロジーです。オリジナルといっても書き下ろしではなく、いろんな媒体に発表済みの短編がセレクションされていました。柳田國男(遠野物語の人)もいれば久住昌之(孤独のグルメの原作の人)もいて、年代も内容もかなりバラエティに富んでいました。
しかし一番驚いたのは「だいわ文庫」という文庫名です。正直私はこのレーベルを生まれて初めて見ました。「大和書房のだいわ文庫って…どこの出版社…?」と買ってから思いました。ちらっと調べたら実用書中心に発行している会社みたいですね。そりゃあ知らないわけだ…
この本は普段の行動範囲外の本屋で買いました。こういうテーマの文庫アンソロが普段通ってる本屋にあったら絶対気づくはずなので、「掘り出し物だー」と思って飛びついて、半分くらいまで読み進めてからふと奥付を確認して結構びっくりさせられました。
やっぱり食べに行こう。 (毎日文庫)原田マハ
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ブクログの登録画像と違うデザインの本を手にとったので「?」と思っていたら、カバーが二重になってました。こういう二重カバーって多分初めて入手したのですが、普通のカバーより5mmくらい天地方向が短いんですね。わざとかな…?
新聞連載だったので文庫サイズでもせいぜい3ページくらいの食に関するエッセイが何十本と入ってました。やはり特筆すべきはアートと食べ物、というくくりの章があったことですかね。筆者さんが美術好きで、相当真面目に取材した上で美術系の小説(「暗幕のゲルニカ」とか)を書かれていることがよく分かりました。MoMAに勤めていたことがあるのは経歴として強すぎる。
字数が限られていたためか、おいしいものの紹介(説明)だけで終わっていて味の感想や細かい描写まで入りきってなかった(ことが頻発していた)のは少し残念かな。でもとにかく幅広いものを食べていて、おいしいものに対する筆者さんの熱意は伝わってきました。それと知り合いがあちこちにいる上に、フットワークが軽くて日本に限らず海外旅行も相当されている。筆者さんのスタミナや度胸に一番驚かされた気がします。